
日本で実現できない理由
最近このブログでもよく話題にしている「修理する権利」。
初めて聞く方もいると思うので、今回は簡単に背景を説明してみます。
アメリカ発の「修理する権利」ムーブメント
「修理する権利」と聞くと難しそうですが、要はこういう話です。
スマホやパソコン、自動車、農業機械などが壊れたとき、 メーカー公認の修理店だけでなく、自分で修理したり、街の修理屋さんに頼んだりする自由を認めようというもの。
アメリカでは、メーカーが修理マニュアルや純正部品、診断ソフトを独占していたため、 非公認の修理が事実上できない状態が続いていました。
そうなると修理費はメーカーのいい値ですよね。
そこで「もっと選択肢を増やして、修理費用も下げようよ」という流れが生まれたわけです。
このブログでもそのムーブメントを何回か取り上げました。
その中でも言いましたが、私が約10年セルフリペア事業を推進してきて思ったことがあるんです。
それは日本で「権利だけ主張」しても意味がない、むしろユーザーは損をするリスクを負ってします。
これなんです。
今の日本では米国のように「修理する権利」で法律まで変える必要が無いです。
メーカーしか修理ができないということが意外とユーザー側に恩恵があるんです。
この問題をメーカー側の立場で言えば「安全性は誰が担保するの?」ということが必ず出てくるからなんです。
当然今はユーザーの安全をメーカー側が担保しているのです。
ですから何かあればメーカーが動き出すと思いますよ。
だったら法律を変えてまでではなく、単に今まで通り自己責任で行えば良いのです。
つまり選べる環境を作れれば良いと思っていますから、もう少し部品を流通されて欲しいです。
メーカーの代行店等だけではなく非公認の修理店にも部品を卸してあげることなんです。
でも、そういう修理で何かトラブルがあればメーカー側の負担が減らないということも事実ですから、安易に部品流通ができないという事情も解るんですよね。
日本ではPL法が大きな壁になる
その背景には日本に PL法(製造物責任法) があるからなんです。
これは「製品の欠陥で怪我などが起きた場合、メーカーが責任を負う」という、 消費者を強く守る法律です。
もし、ここに「修理する権利」が加わると、次のような問題が発生します。
責任転嫁のリスク
DIY修理や非公認修理のあとに発火事故が起きた場合、 原因が「製造時の欠陥」なのか「修理のミス」なのかを証明するのはほぼ不可能です。
メーカーの立証負担が重すぎる
PL法ではメーカーが「自社に過失がないこと」を証明しなければなりません。
しかし、他人が触った内部構造の状態を証明するのは非常に難しく、 結果的にメーカーが理不尽な責任を負う可能性が高くなります。
この2つが、日本で修理する権利を制度化する際の大きな壁です。
もし権利を全面的に認めれば、メーカーがすべての責任を背負うことになります。
そんな制度、メーカーが受け入れるはずがありません。
PL法以外にもハードルがある
日本には他にも関連する法律があり、消費者を守っているんです。
電波法
スマホを非公認業者が分解すると「技適」が無効になる可能性があります。
そのまま電波を発すると、ユーザーが電波法違反になるケースもあり得ます。
電気製品安全法(PSE)
ノートPCや家電のバッテリー交換で、 安全基準を満たさない互換品を使って発火した場合、 責任の所在が曖昧になります。
こした法律に守られているからこそ、 ユーザーは「買った家電が発火したらメーカーが調査してくれる」という安心感を得られています。
もし「修理する権利」だけを主張すると、 逆に「あなたが修理したんでしょ?」と責任を押し付けられる未来もあり得ます。
結局、ユーザーは今の仕組みで得をしている部分も大きいんです。
日本で現実的なのは「自己責任で修理する」こと
だから日本でできることは、 あくまでも自己責任で修理する
というスタンスが最も現実的だと思っています。
実際、米国では2023年から電子機器の修理情報公開が義務化され、 2024年にはAppleがパーツ販売を開始。
HP、DELL、Lenovoなども部品注文が可能になりました。
リンクも貼っておきます。
HP パーツストア
DELL 内蔵パーツ購入



Lenovo 部品センター
HPは昔から部品購入ができましたが、 他メーカーは本当に最近になってようやく検索上位に出てくるようになりました。
ただ、私もHPで数点部品を調達しましたが、一般の方が自力で部品を探して買うのはかなり難しいと思います。
正直なところ、 「アメリカで制度化されたから、とりあえず仕組みだけ公開した」 という印象が強いです。
だからこそ、ダイナショップ福岡のように 部品の説明や適合情報を丁寧に出して“買いやすくする”ことが大きな差別化になると感じています。
歩み寄れるメーカーだけが生き残る
日本では法律の壁があるため、絶対に前に進みません。
ただし、自己責任で修理するユーザーに対して、 メーカーが歩み寄る姿勢は今後ますます重要になり、増えてくるのだと思います。
一般的にはセルフリペアで分解行為をした時点でPL法から解かれるとした方が良いので、開封確認ようのハード的な仕組みを作るなどメーカーも歩み寄りの姿勢を見せて欲しいですよね。
現状、パソコンで業界で最もそういうユーザーよりのメーカーはパナソニックだけだと思います。
このメーカーはセルフリペアに協力的だと思っていますので、また後日レポートします。
他メーカーは私の事業にも一切協力してくれませんでした。
想定内ですが、ちょっと寂しくなりましたけどね(笑)
パナソニックは「顧客第一主義」と言われていましたが、やはりそれは本当だったみたいです。
以上


